大正時代に天皇の即位を記念して、全戸にくるみの苗木が配布されたことで産地としての歩みが始まりました。
また長い間品種改良を積み重ね、巨匠の技と住民の努力によって「信濃くるみ」という優良品種を作り出しました。
日本のくるみ栽培を支えてきた東御市が『くるみの里』と呼ばれる由縁がここにあります。
くるみは西アジアのカスピ海を中心とした地域(ペルシア周辺)が原産地と言われています。
ペルシア原産とされるくるみ『セイヨウクルミ』はペルシアからギリシャへ、そしてヨーロッパ各地へ伝わりました。日本へは当時ヨーロッパからの移住者を受け入れていたアメリカから西周りに伝わったとされています。
一方、ペルシアからシルクロードを経由した東回りのルートからも『テウチクルミ』と呼ばれるくるみの伝来がありました。ペルシア原産の『テウチクルミ』は中国より江戸時代初期に伝わったとされています。
こうして西アジアから地球を東西に分かれ何千年もの間旅したくるみは再び日本で出会いました。
『信濃くるみ』は上記の『セイヨウクルミ』と『テウチグルミ』を接ぎ木により品種改良し東御市で生み出されました。
信濃くるみの中でも品種が何種類かあります。
1本の木で雄花と雌花を咲かせますが、開花期が異なるため、1本の木だけでは受粉できません。(雌優異熟現象)
雄花先熟品種と雌花先熟品種に分かれており、これらを混植する必要があります。
あとは自然の風で花粉が飛散し、受粉することで結実されます。
ただし、春先の気温によっては開花期のズレが大きくなることもありますので、結実率を上げるために人工授粉を実施します。
【雄花先熟品種】
・清香【雌花先熟品種】
・美鶴